私たちアステックペイントは、建築塗料メーカーとして、全国3,500社以上の加盟店の皆様とともに、お客様に安全・安心・快適な住環境を提供することに貢献してまいりました。
現在、塗装業界はデジタル化による大きな転換期を迎えています。少子高齢化による労働力不足、材料原価の高騰、顧客ニーズの多様化、働き方改革の推進など、私たちを取り巻く環境は急速に変化しています。
私たちはこの変化を新たな成長機会と捉え、DX推進を経営の最重要課題の一つとして位置付けました。
当社は「塗料業界のThe Everything store」というビジョンを掲げ、デジタル技術を駆使することで、顧客体験の向上、業務効率化、そして新たな価値創造を実現し、持続的な成長を目指してまいります。
この取り組みを確実に推進するため、社内にDX本部を設置しました。DX本部は情報システム部とDS企画開発部で構成され、約100名のIT・WEB人材が在籍しています。彼らの専門性を活かし、塗料・塗装業界におけるあらゆる業務のデジタル化に取り組んでいます。
デジタル技術の力を最大限に活用し、施主様、加盟店様をはじめとする全てのステークホルダーの皆様に新たな価値を提供し続けることで、塗装業界の発展に貢献してまいります。
代表取締役社長 菅原 徹
1-1. 企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定
課題の認識:デジタル技術が社会や自社の環境に及ぼす影響
当社は、建築塗料メーカーとして、全国3,500社以上の加盟店様とともに、お客様に安全・安心・快適な住環境を提供することに貢献してまいりました。近年、デジタル技術は社会構造やビジネス環境に大きな変化をもたらしています。
社会への影響
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・労働力不足の深刻化
- ・少子高齢化に伴う労働力不足は、塗料・塗装業界においても深刻な課題となっており、業務効率化は喫緊の課題です。
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・顧客ニーズの多様化・高度化
- ・顧客のニーズは多様化し、高品質・高機能な製品だけでなく、個別に最適化されたサービスや体験が求められるようになっています。
- ・昨今の物価上昇によりコストパフォーマンスの高い塗料が求められています。
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・働き方改革の推進
- ・時間や場所に縛られない柔軟な働き方へのニーズが高まっており、従業員のワークライフバランスを考慮した環境整備が求められています。
自社の競争環境への影響
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・競合他社のデジタル化戦略の加速
- ・競合他社は積極的にデジタル技術を導入し、業務効率化、新規事業展開、顧客体験の向上などを図っており、競争は激化しています。
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・新たなビジネスモデルの登場
- ・デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルが次々と登場しており、既存のビジネスモデルは変革を迫られています。
- ・例えば、オンラインプラットフォームを通じた顧客との直接的なつながり構築などが挙げられます。
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・顧客接点の変化
- ・顧客とのコミュニケーションは、従来の対面や電話から、オンラインチャネル(ウェブサイト、SNS、アプリなど)へと移行しており、これらのチャネルを効果的に活用する必要があります。
このように昨今、塗料業界においてもデジタル化の波が急速に押し寄せており、当社は、この変化を新たな成長の機会と捉え、DX推進を経営の最重要課題の一つとして位置付けております。
経営ビジョン:「塗料業界のThe Every thing storeになる」
DXを通じて、これらの目標をさらに進化させ、塗装会社の皆様のあらゆるニーズに答えられる企業を目指します。
顧客サービスの質の向上
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・デジタルプラットフォームの更なる活用
- ・オンライン受注システムの機能拡充
- ・顧客データ分析に基づくパーソナライズされた情報提供
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・顧客対応の迅速化
- ・チャットボットやAIを活用したFAQシステムの導入による24時間対応
- ・問い合わせ対応時間の短縮
社内業務の質の向上
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・AIやデータ活用による業務効率化
- ・RPA導入による定型業務の自動化、AIを活用した需要予測による在庫最適化
- ・データ分析に基づく業務プロセスの改善
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・意思決定の迅速化
- ・BIツールを活用したデータ可視化による経営状況のリアルタイム把握
- ・データに基づく迅速な意思決定
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・社員の働きがい向上
- ・クラウドツールの導入による柔軟な働き方の実現
- ・業務効率化による時間の削減
DXを通じた顧客・社会への貢献
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・塗料業界全体のイノベーションを加速
- ・イノベーションの推進による業界データ共有プラットフォームの構築
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・施主の皆様への更なる価値提供
- ・高機能塗料の開発
- ・低コスト塗料の開発
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・持続可能な社会の実現への貢献
- ・省エネルギー化に貢献する塗装技術の開発
- ・省工数塗料の開発
経営ビジョンを実現するためのビジネスモデルの方向性
上記の経営ビジョンを実現するために、以下のビジネスモデル変革を推進します。
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・デジタルプラットフォームの更なる活用による顧客サービス向上
- ・顧客向けオンライン受注システムの強化、顧客データ分析に基づく個別最適化された情報提供
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・顧客向けポータルサイトの改善
- ・顧客専用のポータルサイトを改善し、製品情報、技術情報、事例紹介などの情報提供を強化
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・AI、データ活用による新規事業展開
- ・顧客ニーズや市場動向の分析に基づく新製品・サービスの開発、AIを活用した塗装関連サービスなどの提供
2-1. 企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な戦略
経営ビジョン・ビジネスモデルを実現するための戦略
上記の経営ビジョンとビジネスモデルを実現するために、データ活用を含む以下の戦略を推進します。
全社戦略の概要
デジタル技術をあらゆる業務プロセスに統合し、企業文化、組織、業務プロセス、製品・サービスを変革することで、企業全体の競争力を向上させます。具体的には、以下の4つの柱で構成されます。
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・顧客体験の変革
- ・デジタル技術を活用し、顧客とのあらゆる接点において最適な体験を提供します。
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・業務プロセスの変革
- ・デジタル技術を活用し、業務プロセスを効率化し、生産性を向上させます。
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・データドリブン経営の推進
- ・データに基づいた意思決定を行うための基盤を整備します。
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・企業文化の変革
- ・DXを推進するための企業文化を醸成します。
データ活用を含む戦略
BIツールを活用したデータ可視化と分析により、迅速な意思決定とデータドリブンな経営を実現します。具体的には、以下の取り組みを行います。
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・データ収集基盤の構築
- ・業務システム、顧客データ、市場データなど、様々なデータソースからデータを収集し、統合します。
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・データ分析環境の整備
- ・BIツールを活用し、データの可視化、分析、レポーティングを行います。
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・データ活用人材の育成
- ・データ分析スキルを持つ人材を育成し、データ活用を推進します。
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・その他の方向性
- ・新規サービス創出:デジタル技術を活用した新たな顧客価値の創造
- ・基幹システムの刷新:業務効率化とデータ活用基盤の強化
- ・ITツールの全社最適化:情報共有とコラボレーションの促進
- ・デジタル化による業務生産性向上:RPAやAI導入による業務自動化
- ・最新技術の活用・浸透による生産性・競争力の向上:生成AIやMI(マテリアル・インフォマティクス)の導入
2-1-① 戦略を効果的に進めるための体制
DX戦略を推進するための体制・組織及び人材の育成・確保
当社は、DX戦略を効果的に推進するために、以下の体制を整備しています。
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・DX推進チーム
- ・各部門から選出されたメンバーで構成され、現場のニーズをDX本部に伝え、DX施策の実行を支援
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・DX本部の役割
- ・全社的なDX戦略の策定と推進、DX推進チームおよび各部門へのDX支援
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・DX人材の定義
- ・デジタル技術に関する専門知識と業務知識を併せ持ち、DX推進に貢献できる人材
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・採用
- ・キャリア採用、リファラル採用、IT人材向け採用ページの製作、IT人材マッチングプラットフォームの活用
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・育成
- ・スキルマップの作成、明瞭な人事評価制度の導入、IT研修プログラムの実施
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・DX人材の育成・確保に関する数値目標
- ・デジタルサービスに従事する社員数:現在100名⇒3年後150名
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・外部ベンダーとの協業
- ・AIなど最新技術の知見のあるベンチャー企業やITコンサルティング企業との協業
ITシステム・デジタル技術活用環境の整備
最新の情報処理技術を活用するために、以下の環境整備を進めています。
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・実際のプロジェクト
- ・自社基幹システムの刷新および機能追加
- ・加盟店向けECサイトのUI改善
- ・社内コミュニケーションツールの一元化
- ・CRM、MAなどのデジタルマーケティングツールの整備
- ・生産工場における業務のRPA導入
- ・全社員へ生成AI環境の提供
- ・ナレッジマネジメント活用のための全社プラットフォーム構築
- ・社内オンライン配信スタジオの設置
- ・DX本部・DX推進チームによるDX要望吸収・実施サポート
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・今後の計画
- ・生成AIによる見積り・積算業務の生産性向上
- ・MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による研究開発の生産性向上
- ・ISMS基準のIT統制の実施
DX戦略の達成度を測る指標
DX戦略の達成度を測るために、以下の指標を設定し、定期的に評価を行います。
- ・売上に占めるデジタルサービス割合:前年比20%増
- ・業務プロセスのデジタル化率:前年比10%増
- ・製品開発スピード:前年比10%増
- ・DX人材の人数:前年比20%増
- ・DXプロジェクト数:前年比20%増
上記指標による定期的な評価を行い、次のアクションプラン策定に活用し、継続的な改善を図ります。